ヨーロッパのスーパースターから考える、今後のバスケットの傾向
2023/07/22
ヨーロッパのスーパースターから考える、今後のバスケットの傾向
こんにちは!
前回の記事では、2回連続で来シーズン期待するチームをご紹介しました。
今回の記事では、雰囲気を少し変え、近年増えている「ヨーロッパのスーパースターから考える、今後のバスケットの傾向」について書きたいと思います。
このトピックは、英字新聞のガーディアン紙の記事で特集されており、今回新たに情報を付け加えました。
近年アメリカのNBAでは、多数のアメリカ人以外の選手が、トッププレイヤーとして活躍しています。
二度のMVPと、昨シーズンの覇者であり、ファイナルMVPをも獲得したニコール・ヨーキッチ選手は、セルビア出身の選手であり、セルビアはヨーロッパの国です。
2022年の覇者は、アメリカのステフィン・カリー選手でしたが、そのさらに前にさかのぼると、ヤニス・アンテトクンポ選手がファイナルMVPを獲得し、彼はギリシャ出身の選手です。
昨年のシーズンMVPは、フランスのジョエル・エンビート選手であり、今年のドラフトで全体1位指名を受け、今後NBAを背負うとされている、ビクター・ウェンバヤマ選手もフランス出身です。
バスケットボールの神様と称されるマイケル・ジョーダン選手などがおり、アメリカ代表が「ドリームチーム」と呼ばれていた時代には、考えられないような出来事だと思います。
このように、近年アメリカ人以外の選手、特にヨーロッパの選手のアメリカでの活躍が顕著となっていますが、ガーディアン紙では、それはスポーツの概念が変わる前兆となる可能性すらあると書いています。
ヨーキッチ選手が優勝後、「やっと家に帰れる」と発言したように、彼を含めアンテトクンポ選手など、アンセルフィッシュな一面があります。そして、彼らの感情の根底となるモノは、「広い視野」であると指摘されています。
少なくともヨーキッチ選手やアンテトクンポ選手は、バスケットボールのみのことを考えてはいません。家庭での時間や、友人との時間、一人の時間などと同じように、人生という中の一場面に過ぎないのです。
このワークスタイルは、仕事にすべてをささげるアメリカとは対照的で、データとしても、アメリカ人は、ヨーロッパ人の年平均数百時間多く働いていることが明らかとなっているようです。(グローバルノートの統計では、1990年から2022年までの世界の労働時間が多い国、12位がアメリカで、日本が30位、そして、30位以下に多くのヨーロッパの国がランキングしています)
それらワークバランスを意識し、かつ、結果も出ているヨーロッパ流のワークバランスは必ずしも、“異国”であるアメリカに受け入れられているわけではありません。
昨シーズンのPlay-offsで、アンテトクンポ選手率いるミルウォーキー・バックスは、優勝候補でありながら、8位シードのマイアミ・ヒートに1勝4敗で敗れました。
シーズン終了後のインタビューで、アンテトクンポ選手は、マイケル・ジョーダン選手と自身を比較しこのように述べました。
「マイケル・ジョーダンは15年間プレーした。彼は6回優勝した。残りの9年間は失敗だったのか?そう言いたいのか?それは間違った質問だ。スポーツに失敗はない。いい日もあれば悪い日もある。成功する日もあれば、そうでない日もある。自分の出番がある日もあれば、ない日もある。スポーツとはそういうものだ。いつも勝てるとは限らない」。
このコメントの反応は、賛否別れました。
これまでのアメリカでの価値観では、勝利に執着することが最低限に必要なことで、ヒーローになることが、人々が最も好感を持つ、憧れの対象となる人物でした。
しかし、近年のヨーロッパ選手の活躍と彼らの倫理観は、それとはことなり、バスケット(仕事)よりも、自身の人生が最重要で重要なことです。
どちらが良いか悪いかではなく、今後のNBAの方針や活躍する選手によって、スポーツという概念や見方、マーケティングは、変化していくということです。
それらの変化から、近年、良い意味で血の気のある試合が少なくなってきたと感じる人もいる人もいるかもしれませんが、その理由は、ヨーロッパの選手の活躍によってグローバルになったことを挙げることができるのかもしれません。
だからこそ、彼らを批判することはリーグのレベルを下げるのみで、彼らや次にリーグを台頭するであろう選手を応援することが、リーグのレベルが上がる方法であると思います。
来月から始まる世界大会でも、各国の“色”を表現する場所でもあります。
母国の応援もですが、気になるチームについて調べることも、新しい価値観を広げるきっかけとなるのかもしれません!
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